すずめのお宿…その1

kattobi882007-06-08

*[生きものたち] すずめ SOS


こんな嵐の日には思い出す事がある。


数年前、交通事故で暫く入院し、漸く退院してきた翌日のことだった。
まだ身体もおぼつかなく、左手に力が戻っていなかったけれど、余りに激しい嵐に、ガタガタ鳴る雨戸を閉めなくっちゃと思い、椅子を引き摺ってきて、出窓を開け、思い切り雨戸を引いた。


その途端、大量の藁くずと共に、雀が飛び立った。

「ああ!すずめの巣があったのか…。ごめんよ!」っと、言いながら、開き戸式の雨戸を両側共閉めて、網戸を閉め、ガラス窓を閉め、漸く椅子から降りた。

やれやれ…^^; と、窓を見ると、何と!もう一羽、子雀が取り残されてもがいているではないか!
雨戸と網戸に挟まりつつも、藁のふくらみが隙間を作り、身体を守っていた。

こりゃあ大変! 早く助け出さなくちゃあ! と、又、椅子に上り、不安定な姿勢で挑戦するのだが、少しずつずらして確認していかないと無事に取り出せそうも無い。

時間がかかり、こちらも限界という頃、漸く手が届き、網戸を破って何とか救い出せた。

気がつくと、外でけたたましい鳴き声が聞こえてる。
きっと親に違いない。

半分扉を開け、見ると、直ぐ前の電線に、両親と思しき大き目の二羽と、ちょっと小柄な子どもらしいのが一羽止まっている。

「あ、もう飛べるんだ!」

両親は、けたたましく鳴いては、窓縁に飛んでくる。
それでは、と、おぼつかない左手にそうっと入れていた子雀を窓縁に置いて、身体を隠して様子を見ていると、その子は、親が誘うにもかかわらず、なかなか飛び立とうとしない。
それでも、親が隣で何か励ますように声をかけ、お手本を見せるうち、漸く、飛び立った!

ヤッター!(^^)v
上から見ると、何やら垣根の周りで親が騒いでる。
何とか、階段下りて、外へ出てみると、垣根の間に挟まって、もがいているではないか!
余りしゃしゃり出ても、と思ったけれど、見ていられなくて助け出し、門の上に置いてあげて様子を見ていたら、今度は道路に降り立ち、ホッとした。

が、しかし、そこから動かない。

車や自転車が通るというのになかなか移動できないようで、気が気でなく、拾い上げ、「まだ、無理だったの?」と話しかけながら気がついた。

立ち方が変!
今落ちた時痛めたのかと思ってショック!
でも、良く見たら、片足の指がくっついていて、上手く立てないようだった。
「これじゃあ、枝にも止まれない訳だわ!」「はて、どうしよう(+_+)」

その子は、暴れもせず、身体を小刻みに震わせながらジッと手のひらに乗っかっている。
親達は、けたたましく騒ぎ立てているけれど、「ごめんね、ちょっと預かるね」と、呟いて、家に入り、大急ぎでネット検索をしてみた。

「すずめSOS」と入れたら、出てきた、出てきた!
公式のものの他、個人HPが幾つもあった。


「野鳥を拾ってはいけない!」という注意事項と共に、やむなく拾ってしまった場合の扱い方から、具体的なQ&Aまで載っていた。

個別の質問もすぐに返事をくれるという掲示板があったので、さっそく、状況をカキコして、待った。
ほどなく返事が来て、詳しいアドバイスが書かれてあった。


できれば獣医さんに診てもらった方がいいということだったので、早速近くの動物病院へ連れて行った。
獣医さんは、少しでも動くようにと、くっついている指を切り離してくれて、「独り立ちできるまで、あなたが親代わりになって育てなさい」と言い、取り敢えずの食料としてドッグフードを分けてくれた。

「そうか、親がわりか! 私が誤って巣を壊しちゃったんだから、何としても、無事に巣立たせてあげなくっちゃね!」

と、大奮闘が始まった のである。